こんにちは、「ゆるりら」です。
「チケットを見せていただけますか。」
突然声をかけられ、顔を向けるとスーツを着た係員の方が、控えめな雰囲気の男性と一緒に立っていました。
「これは、明日のチケットです。」と係員の方が告げると、私の頭は真っ白に。
「え?」「え??」「え???」
隣に立っていた男性こそ、この席の本来の持ち主だったのです。
なんと、2日間に分かれた振替公演の初日と2日目を完全に勘違いしていました。いったい何をどう思い違いしていたのか…気づいた時には、私は間違った日にちのチケットで会場に入ってしまっていたのです。
係員の案内で私は会場を後にすることになりました。
ショックと混乱でよく覚えていませんが、係の方に伴われ会場の外のソファに座りました。残念過ぎて「席はなくてもいいので、後ろで聴かせてもらえませんか」と懇願しました。しかし、それは叶わず、スーツ姿で整った顔立ちの、俳優の竜星涼さん似の若い係の方がじっと私の目を見て「出ていただけますか」と促しました。あの目力は、あらゆるトラブル処理の責任者なのでしょう。
帰るしかない、と意気消沈していた私に、娘がラインで力強い言葉をかけてくれました。
「明日なら行けるよ!私が夜、迎えに行くから!」
さらに、それを聞いた夫も「途中まで迎えに行くよ」と申し出てくれました。
「こういうピンチこそ明るく乗り越えるんだって、ママに教えてもらったからね」
家族の優しさと支えに涙が出そうでした。
そして迎えた翌日。
ついに山下達郎さんのライブが始まりました。最初は少し風邪の影響を感じる歌声でしたが、曲を重ねるごとに力強さを取り戻し、圧巻のパフォーマンスを見せてくれました。なんと2時間45分、中入りなしで歌い上げ、同時に演奏もされる達郎さん。演奏も、エレキ、アコースティック、キーボード!曲も全て作詞作曲、まさにマルチ、天才!です。席は1階の前方で、生き神様のような存在感を間近に感じることができました。
ラストには、マイクを使わず生声で歌い上げる場面も!その声が3階席の奥まで響き渡り、まるで会場全体が一つに包まれるような感覚でした。人を愛すること、人を思いやること、自分と自分の人生を愛すること、全てをその素晴らしい声に乗せて、全力で魂の声を届けてくれた達郎さん、感動!でした。
さらに、驚きのサプライズが!達郎さんが「まりあちゃーん」と呼ぶと、なんと竹内まりあさんがコーラスの女の子に混ざって立っていらっしゃったのです!いつの間に?!会場中が歓声に包まれる中、私は初めて生でまりあさんを見ることができ、大興奮。達郎さんの体調を気遣ってのサポートかもしれませんが、夫婦共演という奇跡的なひとときを目の当たりにできました。
帰り道も娘と夫がリレーのように迎えに来てくれたおかげで、無事に家まで戻ることができました。
日にちを間違えるという「やらかし」もありましたが、家族の愛情に支えられ、最高のライブ体験を味わうことができました。この失敗も、今では忘れられない思い出の一部です。
あの日、ライブ会場で出会った人たちは、私がこんな形で連行されて強制退去させられたことを知ったら、びっくりでしょうね。(笑)あの本物の持ち主の方も、私と隣の女性がすごく楽しそうに話し込んでいるのを見て、友達同士に違いない、と思ったのでしょう。「その席、僕の席ですけど」と言えずに、ぎりぎりまで困って係の方に相談したのだと思います。ほんとうにごめんなさい。