こんにちは、「ゆるりら」です。
先日、あるYouTubeライブを見ていたら、「友達の息子さんが働きたくないと言って家にいる」という話が出てきました。「無理なことはしたくない。自由がいい」というのが彼の言い分だそうです。お母さんも自由な方で、「それでいいと思って」と家にいさせているとのこと。病気や精神的な問題ではないとのことで、ライブのチャット欄でも「無理なことはしなくていいよ」「頑張るのをやめることを頑張るのは素敵」「風の時代なんだから、働かなくてもいい」というように、肯定的な意見が目立っていました。
そのご家庭がどの程度裕福なのかは分かりません。もしかすると資産があり、寝ていてもお金が増える環境で、資産管理の方法だけ伝えればその息子さんは十分生きていけるのかもしれません。しかし、一般的にはそういったご家庭は少数派です。この資本主義社会では、お金がなければ衣食住どころか移動や通信さえままなりません。親だっていつまでも子どもの生活費を負担し続けるのは難しいでしょう(少なくとも我が家では!)。
養老孟司先生が「論語を読むべきだ」とおっしゃったことを思い出します。
「これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」(『論語』)
つまり、「好きでやる」だけではなく、「楽しんでやる」ことがもっと大事だという孔子の考え方です。好きで仕事を選んだとしても、その仕事を本当に楽しんでいる人にはかなわない、ということですね。
実際のところ、どの仕事が良いかを思案するよりも、「仕事をやりながら考える」方が近道かもしれません。日々の中で、何でもないように見える仕事に面白みを見つけ、やってみることで楽しさを見いだす。例えば養老先生は「虫が好き」と言いますが、それだけでは仕事にはならないと語っています。「解剖学を仕事にしたが、頼み込んで解剖をするのは性格異常かもしれない」と笑い話にされていますが、その中には、好きなことを突き詰める職人の孤独と崇高さが含まれているように感じます。
私自身、何十年も仕事を続けてきましたが、もともと自分の気質には全く向かない職種でした。それでも、日々工夫を重ねる中で、誰かに喜んでもらえることが自分の喜びへとつながりました。
今の若者たちは、とても優しく繊細です。親の言葉や社会の空気をそのまま真に受けやすい傾向があります。もし親が「仕事は辛い」「社会は厳しい」「お金は悪い人が得るもの」などと言えば、若者たちは社会やお金そのものにネガティブな印象を持ってしまうかもしれません。実際、大人になる方がずっと楽しいこともたくさんあります。
例えば学生時代は宿題やテスト、成績の序列、同級生との競争や容姿、親の経済状況などで悩むことも多いでしょう。でも大人になると、若いだけで美しいと言われることさえあります。自分で得たお金で好きなものを食べたり、行きたい場所に行ったりする自由も手に入ります。お金は自由を大きく広げてくれるツールです。
私は子どもたちに「大人って楽しいよ!」と伝えることを大事にしてきました。例えば、娘たちが高校生の頃、進学塾に通わないと言ったときは、「浮いたお金で美味しいものを食べに行こう!」と、月に一度、料亭や寿司屋に連れて行きました。当時夫が単身赴任中で、夕食を作る手間も省けましたし(笑)。双子の娘と3人で海外旅行にも出かけ、「社会に出るのは楽しいことなんだ」「自分でお金を稼ぎたい!」と思ってほしかったのです。
もし自分の子どもが「働きたくない」と言ったら、まずは「携帯代だけでも自分で稼いでほしい」と伝えるかもしれません。その子の「外に出たくない」気持ちを優先することは、外に出ることで得られる楽しさや出会い、若い時に身に着けることができたスキルを失わせることになるかもしれません。その子の人生をもっと輝かせる手助けをしてあげたい、そう思います。