こんにちは「ゆるりら」です。
大リーグ、ワールドシリーズ第6戦。今日は山本投手が先発です。負ければ敗退、しかも長距離移動でカナダへ、アウェーでのマウンド。「山本なら大丈夫。」という神頼みのような空気の中で投げるプレッシャーは、想像を超えるものだと思います。それでも彼は「勝つだけです。」とシンプルに答える。その研ぎ澄まされた精神が印象的でした。余計な言葉で集中力を削がないようにしているのでしょう。
今日は「山本投手が投げ、大谷選手が打ち、もしかしたら佐々木投手も」という、私たちの“勝手に身内”の選手が総登場する試合です。毎日見ていると、ドジャースだけでなくブルージェイズの選手たちも覚えてきて、何だかとても可愛く見えてきます。ゲレーロJr.さんは30歳以上に見えるけれど、まだ26歳だそうです。お父さんとの写真も何度も見ましたが、少しぽっちゃりで今と変わらない可愛さで、つい親しみが湧きます。
試合は予想通りの投手戦。ドジャースもなかなか打てません。3回、ヒットや大谷選手の申告敬遠などから、最近打てていなかったベッツ選手に力強いヒット。何が何でも打つという気迫を感じました。
その裏、ブルージェイズもツーベースとタイムリーで1点返しましたが、山本投手が踏ん張り、追加点は許しません。その後は互いに継投へ。塁には出るものの点は入らず、緊張感が続きました。6回裏には観客が乱入するハプニングも。山本投手は動じた様子もなく、ツーベースや四球はあったものの、最後は空振り三振。やはり動じない人です。
8回裏、3人目として佐々木投手。ヒットと四球で1・2塁のピンチでしたが、ショートフライとセカンドゴロで無失点。頼もしさを感じました。
9回表はあっさり3人で終了。2点リードとはいえ、裏に佐々木投手が続投なので、こちらは夫婦で緊張のピークです。「この試合はどんな幕切れになるのだろう。」と考えてしまいました。逆転されブルージェイズ優勝か、抑えて明日に望みをつなぐか。想像できるのはその2つでした。
ところが、一人目の捕手カークへの投球がデッドボールに。痛そうにしている姿に、思わず「ごめんなさい、ごめんなさい…」と心の中で謝りました。捕球もリードも上手で、ずっと出ずっぱりの選手。余計に申し訳なく思いました。
そして、まさに「筋書きのないドラマ」が起こりました。次の打球が左中間フェンス下に“挟まって”しまい、ボールが動かないのです。センターの選手が手を上げてアピールしていたのに、バッターランナーはそのままホームまで走ってしまいました。画面で見ていても挟まっているのがはっきり分かるほどでした。
判定は「エンタイトル2ベース」。チャレンジしても覆らず、1塁ランナーは3塁、打ったバッターは2塁へ。実際には点は入らなかったのです。あまりに突然の出来事で、一瞬「同点?」と思ってしまうほどでしたが、不可抗力が生んだ本当に珍しいプレーでした。
ここで佐々木投手はグラスノー投手に交代。走者2・3塁の大ピンチ。そのあと、さらにドラマは続きました。1アウト後、レフトへのライナー。キケ選手が前進してダイレクトキャッチ、飛び出していた2塁ランナーをアウトにしてダブルプレー。試合が思わぬ幕切れとなりました。
驚いたのは、この時のドジャースベンチ。山本投手が映っていましたが、ニコニコしてとても楽しそう。あのプレッシャーの中で先発した本人とは思えないほど明るく、佐々木投手と隣で笑顔で会話しながら、飛び出しているランナーを身振りで伝えていました。日本のシニア夫婦が「怖いね」「心臓に悪いね」と震えて見ているというのに、つい先ほどまでマウンドにいた彼は爽やかな笑顔。ライナー捕球には大喜びし、手を振って2塁走者が飛び出していることを合図までしているのです。
ダブルプレーで試合が終わると、佐々木投手と抱き合ってジャンプ。大舞台で投げていたエースとは思えない、子どものような無邪気さでした。今日は山本投手の踏ん張り、不振だったベッツ選手の一打、そして継投判断の的中が何より嬉しかったです。
「野球は筋書きのないドラマ」。本当にその通りで、観客の乱入やフェンスに挟まるボールなど、選手の力ではどうにもならない出来事が起きるのだと教えられました。負けるかもしれない、打たれるかもしれないとドキドキしていた私たち夫婦は、そろって小心者です。
人生も、負けることを恐れて立ち向かわないことの方が、実はリスクなのかもしれません。


