ネットフィリックス「舞妓さんちのまかないさん」感想

こんにちは「ゆるりら」です。

京都にヒーリングの講習に通うことがあり、少しでも京都を学ぼうとこのドラマを見始めました。全部見終わりましたので、多少ネタバレを含みます。まだご覧になっていない方は読まないでくださいね。

調べたところ、これはマンガが原作だそうです。そして、あの是枝監督が手がけたとのこと。美人をこれでもかと取り揃え、息苦しいほどの美しさで包み込むような魔法を持った方だなと感じました。「海街diary」を思い出します。

青森から舞妓さんになりたくて京都にやってきた、仲良しの二人の女の子のお話。優しい物語が静かに流れていきます。この二人はどちらもとても美しいのですが、特に「すみれちゃん」役の女の子は特別な美少女。芸事にも才能があり、努力も惜しまない、まさに才色兼備の存在です。

橋本愛さんの舞妓姿は、この世のものとは思えないほどの美しさ。背が高く、さらに髪を盛っているので、まさに絵にも描けない美しさです。踊りについての知識に乏しい私にも、心の景色が伝わってくるほど。ここまでの訓練を積んだ女優さんの力はさすがです。「国宝」の吉沢亮さんがNHK大河「晴天を衝け」では夫役でしたが、彼が女性として踊りを披露して話題になったことも思い出しました。この二人の役者魂には感嘆します。

橋本さんが演じる百子が芸を職人技のように極めたいと思っているのに、普通の若者としての恋人に「やめたいと思っているのでは」と誤解されたことは、どれだけショックだったでしょう。命懸けで磨いてきた技、本人しか持ち得ない美貌。男が仕事に向かう覚悟となんら変わらないものです。頂点でも常に芸を磨き続けています。「結婚したらやめるんでしょう?」その問いに対し、芸で返した百子の姿は見事で、胸を打ちました。

井浦新さんの演技も、いつも心癒されます。彼が出てくると、物語が一気に真実味を帯びてくるのです。「綺麗な人を揃えましたよー」という作品にならず、現実の空気を吹き込んでくれる。常盤貴子さんの着物姿をずっと眺めていられるのも、目の保養です。和風美人でおちゃめな性格、全方位的に隙のない可愛らしさはさすがだと思います。

しかしながら、この明るく美しいお話を、私の価値観では素直に楽しんでばかりはいられませんでした。

すみれちゃん。青森から出てきた超美少女で、お父さんはお医者さん。娘も医者を目指していました。修学旅行で舞妓さんに憧れ、中学卒業後、親の反対を押し切って京都へ。途中、お父さんが様子を見に来ます。「未成年を酒席に同席させるのは心配だ」という、しごくもっともな話をします。それに対し、「きちんとルールを守っている」「芸を歌舞伎のように守りたい」という説明がなされます。

その後、お父さんは屋形の近くのバーでお酒を飲み、舞妓さんたちにお酌をされ、話をし、完全に納得できないまま「頑張れ」と言って帰っていきました。

……いや、これは母親としては納得できません。
父として連れて帰るくらいの覚悟で来たのに、最後は場の空気に飲まれて、いや飲まされて、手ぶらで青森に帰るなんて、篭絡されたようにも感じます。私が母ならきちんと話をして、せめて「高校卒業後に改めて」という線を引くはずです。医者を目指せるほど勉強のできた娘が、未成年のまま大人の酒席に同席したり、おじいさんと食事に行ったり……心配でなりません。女性として男と言うものをわかっているからこそなおさら心配です。

それでも、すみれちゃんは絶世の美貌と高い才能があり、若いうちから芸の道に入るのも理解できる面があります。でも、キヨちゃんはどうでしょうか。

キヨちゃんは「舞妓さんちのまかないさん」。昭和のように狭いキッチン。調理器具も置けない。もちろん食洗器もなく、全員分の食器を手洗い。50年前の造りの家で、狭い階段と屋根裏部屋のような場所に寝て、洗濯物は昔ながらの物干し場。乾燥機もなく全部手作業。あの部屋にはクーラーはついているのでしょうか。これを全部16歳の女の子が担っているのでしょうか。

食材は大きな布のリュックに背負って運び、生ものまで背中だけで運搬。リンゴの大箱を抱えて帰る姿もありました。料理中には年上の方々が「味見」と称してつまみに来ますが、それを断ることはありません。食事以外におやつも手作り。そして、キヨちゃんがみんなと食卓を囲むシーンはありません。いつも給仕側です。

朝早くから台所、夜遅くまでお夜食の準備。その合間に掃除、洗濯、舞妓さんたちからの頼み事。
舞妓さんとは関係ないお母さんの娘の食事の世話まで、しています。舞妓だったら芸でのし上がっていく事も出来ますが、ずっと地位が低いまま働いていて、大丈夫なのでしょうか。
この子はこの先どうなってしまうの、と心配でたまりません。

せめて食洗器と乾燥機だけでも導入してほしい。食材を背負わせるのはやめてほしい。京都はとても暑く寝室にクーラーをつけてください。夜も朝も台所に立ち続け、雑用を言いつけられ続ける「まかないさん」に、せめて学ぶ時間だけでも与えてほしい――母親目線ではそう思わずにいられませんでした。

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