こんにちは、「ゆるりら」です。

「幸せはお金で買えるのか? イエス
人はお金を使うことで幸せになれるのか? イエス
しかし、その実態は多くの人が思っているよりも複雑だ。」

この本の帯には、「一度きりの人生でお金をどう使うべきか」と書いてありました。
多くの人は、お金の貯め方や増やし方には熱心ですが、「使い方」については、驚くほど無自覚なのだそうです。本書は、その「使い方」という視点から書かれています。

とはいえ、中盤までは、お金にまつわるさまざまな「例」を挙げながら話が進み、「お金と幸せ」についての小話が続きます。
また、幸せの多くはお金とは無関係だ、という話も出てきます。

特に印象に残ったのは、買い物とライティングについての例でした。
買い物には二種類あり、
A:ステータスのため
B:実用性のため
という分類があります。

ライティングについても、読者に迎合すると、結局文章を台無しにしてしまう、という話がありました。
また、贅沢はたまにするぐらいがちょうどいいこと、金持ちと真に豊かな人との違いなども語られます。

正直に言うと、作者には失礼かもしれませんが、これらは日本人が昔から持ち合わせている、ごく普通の感覚ではないかと感じました。

ただ、例として登場する人物がとても有名な人ばかりなので、重くならず、軽快に読み進めることができます。
昔の偉人だけでなく、テイラー・スイフトなど、若い世代の有名人の話も出てきました。

本書では、お金の目的を「満足」だとしています。
高級車や豪邸は一時的な満足を与えますが、すぐに慣れてしまい、幸福感は薄れていきます。一方で、家族との旅行や自由な時間への支出は、記憶として長く残り、繰り返し幸福をもたらすのだそうです。

また、「最適な支出」について、著者は「正しいお金の使い方は存在しない」と言っています。
ある人にとって最高の支出が、別の人にとっては無意味であることも珍しくありません。

たとえば、子どもにお年玉をあげて、それをゲームに使ったとしても、怒る大人はいません。
けれど、父親の遺産で息子の嫁が高級バッグを買ったら、残された母親は、きっと複雑な気持ちになるでしょう。それでも、それが息子やその家族にとっての最適な支出なら、仕方がないのです。

幸福度を高めやすい支出には、こんな特徴があるそうです。

・自由を買う支出(時間・選択肢・精神的余裕)
・体験への支出(モノより記憶)
・ストレスを減らす支出(不安や不確実性の除去)
・繰り返し効果のある支出(何度も思い出せる)

「無駄遣い」は、実は存在しないとも言います。
本人が心から価値を感じ、後悔が少ないのであれば、それは立派な投資なのだそうです。

お金は幸福を保証するものではありませんが、「幸福になりやすい環境」をつくることはできます。
保険や貯蓄、分散投資は、不安を減らすために存在します。安心感そのものが幸福の源であり、使わないお金にも価値がある、という考え方です。

私は前職で、予算を執行する立場にありました。
一年間、組織の予算を預かるということは、三月まで運営していかなくてはならず、「足りなくなった」では済まされません。

以前、あるSNSで、四十年間家庭の主婦として家計簿をつけてこられた方の投稿を見ました。
とても緻密な記録で、「四十年つけていても、その間八回も予算オーバーになっています。私でもそのくらいですから、大丈夫。皆さん、家計簿をつけてください」と書かれていました。

(自分のお金だから、赤字になっても大丈夫なんだな)
と、少し驚いたのを覚えています。

私は四十二年間、一度も予算の赤字を出しませんでした。
いえ、赤字になるということは、許されなかったのです。
赤字にならずとも、大胆に執行すべきところには執行し、組織の人たちに、しっかり目的を達成してもらう。その責任がありました。

本書にあるように、「細かいところにこそ目を配り、大きな支出にはさらに目を配る」姿勢が、日々求められていました。
コピー用紙や使用頻度、郵便物、冷暖房など、健康にも配慮しながら無駄な支出が出ないよう気を配り、一方で工事などの大きな支出については、他に方法はないかと、常に考えてきました。

それでも、職員がどうしても必要だと言ってきたことには、何とか捻出しようと、四苦八苦してきたのです。

国の税金も、国に納めてしまえば、もう自分のお金ではありません。
どんな使い方をされるのかについて、口出しはできないのです。ただ、選挙のときに一票として意思を示すことくらいは、できるのかもしれません。

本書の中で、面白いと感じた例を二つ挙げます。

「ファイナンシャルプランナーが最も大変なのは、倹約して財産を築いた老人に、もう倹約はやめて生活費にお金を使うよう勧めること。たとえ適切で控えめな額でも、なかなか使おうとしない人が多い。」

「ある投資家が、大金持ちの友人から『莫大な財産を残すと、子どもたちの意欲や向上心が損なわれるのではないか』と聞かれた。
『もちろん、そうなるだろう。だが、それでもそうしなければならない。なぜなら、お金を渡さなければ、嫌われるからだ。』」

子どもに人生の厳しさを教えようとする場合、度を超すと、甘やかしすぎるのと同じくらい有害になり得る、ということだそうです。

私自身、双子の子どもたちが受験勉強をしていた高校生の頃、月に一回大人が宴会で行くような料亭や寿司屋に行きました。
そして、値段は気にせず、たくさん食べて楽しくおしゃべりをして帰りました。

「大人は飲み会って言ってよく出かけるけど、こんなにおいしいものを食べているの。
大人になったら、あなたたちも、こういうところに自分のお金で来られるよ。大人になるって、楽しいよ。」
そう伝えたかったのです。
正直なところ、たまには毎日の食事づくりから解放されたい気持ちもありました。

本書の内容からは、ずいぶん外れた感想になってしまいましたが、
「スペンディング・マネー」について考えるきっかけになる、良書だと思いました。

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