こんにちは、「ゆるりら」です。
NHK総合(Netflix)で放送されているアニメ「チ。」を観て、その深いテーマと描写に心を揺さぶられました。この記事では感想をお伝えしますが、一部ネタバレを含みますので、まだ視聴されていない方はご注意ください。
難解なテーマと巧みな設定
このアニメのテーマは「地動説」。それだけでも難解に感じる方が多いかもしれませんが、物語の舞台は15世紀のヨーロッパ某国とされています。この「某国」とした設定が秀逸だと感じました。聖書の教えが絶対とされた時代、地動説を唱える人々への迫害が描かれますが、特定の国名を避けることで、現実の国や史実との齟齬を回避し、視聴者に普遍的なテーマとして受け入れやすくしているのです。
また、宗教が絡むストーリーには慎重さが必要です。聖書を信じる人々が地動説を迫害する描写がある以上、この作品がフィクションであると明確に示されていなければ、信仰を持つ方々にとっては心苦しい部分もあるでしょう。制作陣の配慮が随所に感じられます。
苦しみと知的好奇心
正直に言うと、このアニメを観続けるのは辛い部分もあります。拷問や迫害の描写は残酷で胸が締め付けられます。それでも、「知りたい」という知的好奇心が勝るのです。地動説が当たり前に信じられている現代に生きる自分は、本当に恵まれていると改めて感じました。
視点を変える物語
この物語は数世代にわたる長い物語であり、主人公が交代していく形式が採られています。そのため、視聴者は徐々に物語を俯瞰して見る視点を得られるのです。この構造自体が、アニメの中で描かれる思想の「コペルニクス的転回」を体現しているように感じます。
題名「チ。」が示すもの
「チ。」という題名には「地」(地動説)だけでなく「知」(知識)の意味も込められているように思います。15世紀当時、望遠鏡もコンピューターもない時代に、人々は目視と手計算だけで星の軌道を解析し、惑星の動きが不自然であることを導き出しました。彼らの知性と探究心には驚かされます。
さらに、学説の発見には名誉欲や経済的な利益の側面も描かれています。このような「知識」にまつわる人間の欲望や葛藤も、美化せず丁寧に描写されており、大人の視聴者を深くうならせる部分です。
宇宙への新たな視点
このアニメを観てから、空を見る心が変わりました。空は上だけでなく、足元の地面の先にも広がる無限の宇宙がある。そう考えると、宇宙の中心は自分なのだと感じます。この考え方は誰にでも当てはまるものです。あなたもあなた自身の宇宙の中心であり、足元にもはるかな星が広がっているのです。こう考えると、日々の生活が少し雄大に感じられるのではないでしょうか。
最終話を観るのがとても楽しみです。